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2002年「日本年」「中国年」



《長恨歌》新伝―楊貴妃は日本に渡ってきた―



《長恨歌》新伝―楊貴妃は日本に渡ってきた―

新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』

 『別れに臨みて慇懃に重ねて詞を寄す。
 詞中に誓有り、両心のみ知る。
 七月七日長生殿、夜半人無く私語せし時、
 「天に在りては願はくは比 翼の鳥と作り、
 地に在りては願はくは連理の枝と為らんと」。
 天長地久時有 りて尽くるも、此の恨みは綿綿として
 絶ゆの期無からん』――。

 
 
 これは白楽天の『長恨歌』の最後の一節で、楊貴妃と玄宗皇帝の美しく、悲しい恋を後世に伝える名文です。楊貴妃と玄宗皇帝は「長生殿の誓い」を交わしたにもかかわらず、途中で死ななければなりませんでした。
 楊貴妃の悲劇の結末は、後世の少年少女に「添い遂げられない恨み」を深く刻み、恋愛する上で彼らを悩ませるものとなりました。
 
 日本では、昔から優しい人間がいて、この悲劇の結末を直そうとしました。日本から大陸へもっとも近いところ―山口県の油谷町には楊貴妃の墓が立てられているのです。
 墓の中に本当に楊貴妃がいるのかどうか、もう確認できませんが、それを見た人には常に幻想を展開させる材料を提供してくれるものとなっています。
 悲劇を直そうとする意思を背景として、今回の『楊貴妃と阿倍仲麻呂』という新京劇は生まれました。現代人の創作の空間を介して、楊貴妃は阿倍仲麻呂を伴い日本に現れたのです。

新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』
新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』
新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』
新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』
新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』
新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』

 8月21日、中国北方昆曲劇団は日本で、新京劇『楊貴妃と阿倍仲麻呂』の公演を開始しました。
 最初の2日間は東京、渋谷の東急Bunkamuraオーチャードホールで行なわれました。
 事前に主催者のフジテレビと関連会社CCTV大富は、テレビCMを流して宣伝をしました。
 東京の流行発信基地である渋谷で開催するということもあって、その影響は止まることを知りません。
 21日に橋本龍太郎氏夫婦、海辺俊樹元首相などが観劇、22日には日本の著名なデザイナーである、森英恵さんが観劇にきました。
 また、観客の中には10代、20代の若者も多数来場しており、観客の半数近くを占めていました。

 北方昆曲劇団は今回、最強の出演者陣容で日本公演に赴きました。日中両国で活躍している「京胡」演奏家の呉汝俊は、女形にして楊貴妃の役を演じ、相手方の阿倍仲麻呂は中国で一流の京劇俳優・李光氏が演じました。
 玄宗皇帝、孝謙天皇、高力士の各配役を演じた王振義、楊姉一、馬宝旺は、いずれも中国の「国家二級演員」です。
 
 公演を終えると、昆曲芸術の魅力と出演者の素晴らしい演技は観客の盛大な拍手を呼びました。観客たちは、京劇の踊りと演技に大きな興味を持つようになったと思います。
 何故なら、劇が終っても観客は拍手で出演者のアンコールを強く望んだからです。観客の要望に応えるように、呉氏は京劇女形の歩き方と演技をもう一度披露しました。
 
 その昔、京劇の女形の最高俳優である梅蘭芳が日本で公演しました。これが日本で京劇の女形を演じた最初の舞台でありました。
 日本の若者たちは、『さらばわが愛―覇王別姫』の映画で、京劇の女形芸人への関心を喚起しましたが、呉氏の出演は、その女形の演技を実際に見るチャンスを提供したようです。
 最後の呉氏の踊りと演技を見て、観客はひときわ高い歓声と拍手をしました。東京の公演は大成功のうちに幕を閉じました。

 昆曲は、長い歴史を持つ芸術です。昆曲は伝統的に多くの合唱と踊りで構成されるため、京劇に比べてより恋愛をテーマとする劇に適しています。
 形式的にはオペラ等の近代芸術形式に似ています。『楊貴妃と阿倍仲麻呂』は、昆曲と京劇の伝統を基礎に、近代音楽、演技手法を取り入れて再編成された劇です。
 主役の楊貴妃の演出は、伝統的な芝居の演技、踊りなどの技法を運用してキャラクターの内面世界を表現しようとしています。
 さらに、舞台の背景、光、音楽と音響効果、群舞など近代芝居の手法を導入して、華々しくも悲しい悲劇の効果を強く表現しました。
 近代的な音楽と音響効果を作り出すために、今回、北方昆曲劇団の伴奏には「中国歌舞劇院オーケストラ楽団」が協力し、出演者と楽団メンバーを合わせて、150人にも達する巨大な陣容を擁しました。
 
 日本舞踊の評論家である藤井修治氏は次のように評価しました。「中国の特産物として捉えられている京劇に、オペラやミュージカルのような普遍性を加えて、既存の京劇ファンだけでなく、広く現代人にアピールしようとの意気込みを感じる」と。
 『楊貴妃と阿倍仲麻呂』の東京公演の主催者は、フジテレビとキョードー東京であり、三菱自動車の特別協賛のほか、ANA、キリンビバレッジ、TOSHIBA、アース製薬、ロッテ、日本臓器製薬、ライフの各社が協賛しました。
 後援者には、中国大使館、2002年「日本年」「中国年」日本側実行委員会、社団法人日中協会があります。
 
 東京公演の後、劇団は福岡(8月24、25日)、愛知(8月29日)へ赴き、8月31日と9月1日に再度東京に戻り、東京国際フォーラムで2日間公演します。
 そして9月3日の大阪フェスティバルホールでの公演をもって今回のツアーは千秋楽を迎えます。



 

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