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『交 渉』
上海 惠過柔

あるスーパーで、家具のイベントが行われた。普通の家具屋さんに比べ値段は半分、日用品センターより値段も安く品質も良い。Xさんは一家で、そこのイスひと組とソファー一つを買うことに決めた。
スタッフから、「これは見本品ですから、本物は三日後送ります。配送日は、ご自分で選べます。配送日の朝、配送センターから電話があり、時間を確認します。」と言われた。
三日後の朝、リビングルームの電話が鳴った。Xさんは熟睡中の息子を叩いて起こした。息子はバネじかけのように、畳からとび起きて、リビングルームに行って電話を取った。
その電話は、出張中の母からのモーニングコールではく、配送センターからのものだった。息子は「お父さん、配送センターからの電話だよ。早く来て!」とブツブツ言って、自分の部屋に戻り、また横になった。
Xさんは寝ぼけて目がもうろうとしながらも、「おはよう。」と言って起きた。そして、ちらりと掛け時計を見ると、「なに?もう8時になったのか!」と少しばかり驚いた。それから、電話口を手で覆って、息子に「遅刻になるよ!早く起きよう!」と言った。
息子が起きるのを見ながら電話に出て、「もしもし、何でしょう?」と答えた。電話は、「私達は○○スーパーの配送センターの者です。今日の午前中、お買いになったものをお送りします。」と言った。
「午前中?午前中は無理です。誰もいないんです。午後なら良いですか?」と答えた。すると相手は、「午後ですか。一応、配達の順番を見させてもらって、もう一回お電話します。」と言った。
5分間ほど経って、電話がもう一回鳴った。「お客様、要求された時間は午後でしょうか。はい、12時から2時までの間にお送りしますが、宜しいでしょうか。」と電話が言った。
「できれば、4時か5時が良いんですが。2時だと、ちょっと間に合わないかと思います。」と答えた。すると、「これはちょっと大変ですね。配達のルートはもう決まってますので、これは一番遅い時間ですよ。」と言った。
Xさんは、今日の仕事はもう遅くなってしまったから、もう少し遅くなっても同じだろうと考えた。「それでは、一番早いのは、何時くらいですか?」と聞いた。すると、「9時半くらいから、10時まででしょうね。」と教えられた。「そうですか。じゃ、その時間に送って下さい。家で待ってますから。」と答えた。
相手は、「はい、それでは9時半から10時くらいまでの間にお届けします。また、お客様は受け取りだけでしょうか。」と言った。Xさんは怪しい質問だなと思って、「なぜ?他に何かあるのですか?」と聞いた。「ええ、例えば、組み立てなどは、お客様ご自身でされますか?」と言った。
Xさんは、なに?組み立てる?そんなことは思いもしなかったぞ、と考えた。そうか!自分で組み立てるのは、大変じゃないか?もし自分で組立てて失敗しても、それが品質が悪いせいなのか、自分の組み立てが悪いからなのか、分からなくなって、困るんじゃないか?――。
「そちらが組み立てるの?もしできれば、お願いしたいのですが。」と言った。しかし、「申し訳ありません。契約書の内容は、組み立てを含んでいませんから、もし当方で組み立てると、手数料がかかります。」と言った。
Xさんは、「それは困るよ。私は店で、実物を見たんだよ。その物を買ったんだ。部品じゃないよ。スタッフは組み立てのことなんか言わなかったから、その問題はこっちの問題にならないでしょう?そうじゃないですか?」と言った。
「そうですか。私達の配送センターとお店は同じ会社ではないですから、もう一度確認します。」とわざわざ引き受けて答えた。
このとき、Xさんの気持ちはちょっと明るくなった。店と配送センターは、組み立ての問題を故意に残したのだ。もしお客がこの問題を知ってた場合には、この費用は店で負担する。もし知らなかった場合には、配達の人がちょっとお金を稼ぐだけだ。
相手はずっと電話してこなかった。Xさんは顔を洗うと、家具の置く場所を探したりしていた。すると程なく、配達の車がやって来た。若い人が二人で、ものを運んで組み立てた。道具を持ってるから、20分くらい掛かってしまった。彼らが組み立てや片付けをする姿を見て、Xさんは、前の話は無駄ではなかったと思った。
片付けが終わると、二人は受取書を出して、Xさんにサインをさせた。この受取書のサインの場所は二つある。一つは受取人、もう一つは付注だ。いわゆる、組み立てのところである。Xさんがサインをすると、彼らは、店に組み立ての代金を請求できるのだ。
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