ワタシの見たニッポン


『日本の効率』

 上海 下里巴人 


 日本に来る前、効率の重視は、資本主義発達の要因の一つだと言われた。しかし、こちらに来て見ると、いろいろな場面において、日本人の効率はそんなに良い訳ではないと思うようになった。
 
 まず、郵便局と銀行を見てみよう。上海の郵便局と銀行は、数年前から、効率を良くするために、日常業務は、すべて一回につき数分以内で完成しなければならない、ということを承諾した。そしてそれは、
「承諾サービス」と名づけられた。
 日本は資本主義国であるから、日本の郵便局と銀行の窓口は、素晴らしく効率が良いのだろうと、来日前、僕は思っていた。だが実際、これらは日本では最も効率が悪いところであるようだ。
 
 日本の郵便局や銀行では、上海のような「承諾サービス」はまったく見つけられない。それだけではなく、従業員は、業務が全く分かってないと思う。
 彼らに、何かをちょっと聞いてみると、しばしば、「申し訳ありません、これはちょっと分かりませんので、いま確認します。少々お待ちください。」と答える。そして、僕は何分か待たされなければならない。
 そして一番の災厄は、「申し訳ありません、これはこちらの窓口の業務ではありませんので、
隣の窓口にお越しください。」と答える時だ。
 しかし、効率が良くないと言っても、その態度はとても優しく、この長所は認めなければならない。お年寄りなどは特に、手続きなどをよく知らない場合には、彼達は、お年寄りが分かるまで、何回でも丁寧に説明する。
 これを見たら、上海のような時間制限はないほうが良いと思う。もし時間制限があったら、誰も説明したくなくなるかもしれない。苦情がくるからだ。
 でも、お年寄りの後に並んでいる僕らは、
泣くに泣けず笑うに笑えず、本当に悩む。
 『日本の効率』
 お店の中も同じだ。従業員が少なくて、あちこち走り回り、とても忙しそうだ。特に電気製品を買う場合など、従業員に、形が似ている二つ商品について、性能の違いはどこか、または、他の色があるかなどを聞いてみると、素人の僕と同じレベルか、または全然分からないらしい。
 どこかに確認しに行く。待ちに待っていると、前よりはちょっとましな返事がもらえる。僕は半時間くらい待っていたこともある。
 でも、彼らの態度は悪くないし、僕が怒らない程度に、
「申し訳ありません。」と絶えず言う。
 しかし、たとえそうであっても、彼らの効率に納得できる訳もない。

 最後に、日本の道路工事について少し話しをしよう。都会は巨大で、長い時間が経つと、道路を補修する工事などは、どうしても避けられない。だから、よく計画された都市でも、道路工事が多少あるわけだ。上海もそうだし、東京も同じだろう。
 でも、同じ道路工事というけれど、両都市のやり方はぜんぜん違う。日本に比べ、上海の道路工事は
「粗放型」と言える。普通、工事現場では、施工単位の名前と時間などを書いた看板を立て(昔はこんな看板もなかった。)、そのまま作業が始まる。
 しかし日本のやり方は全く違い、たとえば、家の前の工事で、距離は十メートルしかないのに、なんと作業員が六人もいる。六人もいるのに、本当の作業員は三人しかいない。
 ほかの三人は、工事を直接しないで、もっぱら交通秩序を維持する。両端に各一人が立ち、旗などを振って、人や車の通行を指導する。もう一人は、通路の真中に立って、「ご迷惑になります。申し訳ありません。」のような挨拶をするだけなのだ。
 よく考えてみると、十メートルしかない工事に、なんと六人もいるのだ!しかもその中で、本当の作業員は三人しかいない――。効率というのは、日本人にとって何なのかと判断に迷う。

 しかし、もちろん日本は何といっても効率の国だ。特に生産領域では。たとえば、いくつか見学に行った工場では、生産する時の効率が非常に良いと思う。大きな生産現場でも、人の姿はほとんど見えない。全て機械で生産する。数人の従業員が、制御室で機械をコントロールするだけである。
 日本は、サービスと公共領域で、
「人を根本にする」ということを提唱しており、それによって効率第一の原則は一定程度であきらめてしまうようだ。
 ゆっくり、丁寧に、そして怒らせないようにすること――。このように考えれば、日本人の「人を大切にする効率観」というものが、少しは理解できるだろう。



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